令和8年度からスタートする「子ども・子育て支援金制度」とは、社会連帯の理念を基盤に、こどもや子育て世帯を、全世代・全経済主体が支える新しい分かち合い・連帯の仕組みです。支援金制度の必要性や意義、概要については、別紙、こども家庭庁の資料をご参照ください。
開始時期について
- 令和8年4月保険料(5月末納付分)より一般保険料や介護保険料とあわせて、新たに「子ども・子育て支援金」を徴収することとなります。
- それに伴い納入告知書(請求書)には、第3の費目として子ども・子育て支援金が加わることになります。
- 子ども・子育て支援金の徴収は、国からの要請であり法令事項です。子ども・子育て支援法において、(後ほどご説明いたします)「少子化対策を本格化するための様々な施策(加速化プラン)」に必要となる費用に充てるため、国は、健保組合などの医療保険者から子ども・子育て支援納付金を徴収することとし、医療保険者は、納付金を納付する義務を負うことが定められました。また、納付金に充てる子ども・子育て支援金については、健康保険法において保険料と位置づけられたため、健保組合は、これまでの保険料と同様に被保険者及び事業主から徴収しなければなりません。
- ただし、法律上保険料と規定されても、健保組合が加入者のために行う保険給付や保健事業に充てることは出来ないため、あくまで国の代わりに徴収するし、納付するだけとなります。
支援金の使途は
- 支援金は、「こども未来戦略」において、我が国の少子化対策を本格化するための様々な施策が盛り込まれた「加速化プラン」が策定され、支援金はその財源を担うものです。具体的には、児童手当の抜本的拡充、妊婦のための支援給付(令和7年4月から制度化)、出生後休業支援給付率の引き上げ(令和7年4月から)、育児時短就業給付の創設(令和7年4月から)、こども誰でも通園制度(令和8年4月から給付化)、国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除措置(令和8年10月から)等に充てられます。
どの程度の負担感か
- 子ども・子育て支援納付金の令和8年度から令和10年度までの総額の目安は、令和8年度は約6千億円、令和9年度は約8千億円、令和10年度は約1兆円とされ、健保連の試算では、支援金率は0.3%程度からスタートし、令和10年度には0.4%程度に段階的に上がる見込みです。ただし、国が令和10年度に最大規模を決めているため、今後、健康保険料や介護保険料のように右肩上がりで増え続けることはありません。
- なお、健保組合が行う支援金の徴収は、代行徴収的な位置づけのため、協会けんぽや健保組合等の被用者保険のあいだで支援金率の格差が生じることのないよう、国が一律の率を示し、原則その率で健保組合は徴収することになります※。
- また、被保険者に係る支援金額は、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に子ども・子育て支援金率を乗じて得た額となります。(イメージ参照)保険料の負担割合については、高齢者や企業を含む全世代・全経済主体が支援金を拠出する、新しい分かち合い・連帯の仕組みといった制度の趣旨を踏まえ一律の率と同様に協会けんぽや共済組合と同じ負担割合とするため、原則折半でお考え下さい※。
※ 健保連では厚生労働省より12月下旬に発出予定の予算編成通知において、一律の率を使用すること及び、負担割合は折半が基本となることについて可能な範囲で記載していただくよう要望しているところです。
- 事業所にも関係省庁から知らせがあると思うので、よろしくお願いします。
子ども・子育て支援金制度のQ&A
1、2はこども家庭庁HPより抜粋(一部改編)
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なぜこどもがいない方や子育てを終えている方まで払わなければならないのですか?
- 少子化・人口減少の問題は、日本の経済全体、地域社会全体の問題であり、こどもがいない方や子育てを終えている方などにとっても、極めて重要な課題です。
- したがって、支援金を充てる給付を直接受けない方にとっても、少子化対策によって我が国の経済・社会システムや地域社会を維持し、国民皆保険制度の持続可能性を高めることは、かけがえのない重要な意義を持つものです。
- また、事業主の皆様にとっても、実効性のある少子化対策の推進は、労働力の確保や国内市場の維持の観点から、極めて重要な受益になります。
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子ども・子育て支援金の創設により負担が増えるのではないですか?
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今回、総額3.6兆円規模の給付拡充を図ることとしていますが、その財源確保に当たっては、現下の経済状況や財政状況を踏まえ、増税か国債発行かではなく、社会保障分野における歳出改革等に取り組むこととしています。具体的には、既定予算の最大限の活用等と歳出改革等による公費節減の効果で7割(2.6兆円)を確保することとしており、残る1兆円について、支援金制度を創設して確保することとしています。
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支援金制度は、こどもや子育て世帯を全世代・全経済主体が支える仕組みとして皆様に拠出をお願いするものですが、支援金として拠出いただく1兆円分については、医療・介護の徹底した歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、実質的な負担が生じない(社会保障負担率(※)を上昇させない)こととしています。
※ 国全体でみた国民所得に対する社会保険料負担の割合
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なお、歳出改革については、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年12月22日閣議決定)に沿って、令和10年度までの各年度の予算編成過程において具体的な内容を検討・決定していくこととしています。
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子ども・子育て支援金の創設にあたり、国は歳出改革を行うとしていますが、どのようになっていますか?
- 歳出改革については、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年12月22日閣議決定)に沿って、令和10年度までの各年度の予算編成過程において具体的な内容を検討・決定していくこととしています。
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人事給与システムを改修し、給与明細に子ども・子育て支援金を表示する必要があるのか?
- 支援金制度に関する法案の附帯決議(令和6年6月4日参議院内閣委員会)において「子ども・子育て支援金は、医療保険料や介護保険料とは区分して子ども・子育て支援金率が設定されることから、医療保険料等とは異なるものであることを健康保険者等に周知するとともに、給与明細等において医療保険料等と区別して支援金額が表示される取組が広がるよう、関係者の意見も聞きながら、必要な検討を進めること。」とされており、こども家庭庁において、今後、関係者の意見も伺いながら進められていくものと承知しています。
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子ども・子育て支援金の徴収はいつから始まりますか?
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施行期日が令和8年4月1日になりますので、令和8年4月分保険料(5月納付分)より徴収開始になります。
※なお、医療保険者が国(支払基金)へ納付する子ども・子育て支援納付金の請求時期については、こども家庭庁において、初年度は、各医療保険者の支援金収入がある程度積みあがってから開始(令和8年の夏頃を想定)することを検討しています。
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また、子ども・子育て支援金の徴収に関しては、社会保険制度の中でも医療保険制度は、
- 他の社会保険制度(厚生年金、介護保険等)と比較して賦課対象者が広いこと
- 現行制度においても、後期高齢者支援金や出産育児支援金など、世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれていること
- 急速な少子化・人口減少に歯止めをかけることが、医療保険制度の持続可能性を高めること
から、子ども・子育て支援金は医療保険料とあわせて徴収されることとなりました。
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子ども・子育て拠出金(旧:児童手当拠出金)と子ども・子育て支援金との違いは何ですか?
- 子ども・子育て拠出金は、児童手当の他、仕事と家庭の両立を支援する事業として、放課後児童クラブ、延長保育事業、病児保育事業、企業主導型保育事業、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業、0~2歳児に係る保育の運営費等に充てられていますが、事業主が従業員の仕事と子育ての両立を支援し、将来の労働力の確保に資するという観点から、事業主の皆様に拠出いただいています。
- 一方で、子ども・子育て支援金は、児童手当の拡充や、こども誰でも通園制度、妊婦のための支援給付、出生後休業支援給付、育児時短就業給付等に充てられますが、少子化・人口減少が危機的な状況にある中、これらのこども・子育て政策の給付拡充のため、社会連帯の理念を基盤に、こどもや子育て世帯を、全世代・全経済主体が支える新しい分かち合い・連帯の仕組みとして、ご高齢の方や事業主の皆様を含む全世代・全経済主体から、医療保険料とあわせて拠出いただくものです。
- また、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるため、年金特別会計の子ども・子育て支援勘定及び労働保険特別会計の雇用勘定(育児休業給付関係)を統合し、子ども・子育て支援特別会計が令和7年度に創設されました。(参考参照)
- なお、子ども・子育て拠出金については、こども家庭庁と事業主団体が協議をしながら制度運営がなされていますが、昨年度の「事業主団体との協議の場」においては、事業主団体側から拠出金の在り方について検討すべきとの意見が出されており、「事業主団体との協議の場」において協議が行われていくものと承知しております。
【参考】

別紙 リーフレット(令和8年度より「子ども・子育て支援金」が始まります)
別紙 こども家庭庁資料