柔道整復師(接骨院・整骨院等)は保険医療機関(病院・医院等)ではないので、柔道整復師の施術を受ける場合、厚生労働省の通知等により「健康保険」が使えるものと使えないものが定められています。健康保険で使えて自己負担だけを支払えば良い場合と、健康保険の適用とならないため全額自己負担になる場合がありますので、ご注意ください。
1.健康保険が使える場合
労働災害(業務上又は通勤災害)以外の外傷性ケガ(いつ、どこで、どうして負傷したかが明らかなもの)で柔道整復師の施術を受けた場合に限り、健康保険の給付が受けられます。 ・打撲、捻挫、挫傷(肉離れなど) ・脱臼、骨折(脱臼や骨折については医師の同意が必要です。
2.健康保険が使えない場合(全額自己負担)
下記のような症状で施術を受けた場合には、健康保険(保険証)は使えません。
・単なる疲れや加齢による慢性的な首筋や肩のこり、腰痛、膝の痛み、体調不良 ・スポーツによる筋肉疲労、筋肉痛
・病気(神経痛、五十肩、ヘルニア等)による痛みやしびれ
・過去の交通事故等によるケガの痛み(後遺症)
・症状の改善が見られない接骨院、整骨院での長期の漫然とした施術
・「ついでに他の部分」や「家族に付き添ったついでに」などのついで受療
・同じ負傷で医師の治療を受けているとき(重複受診) 病院のみが保険給付となります。
※平成30年(2018年)の厚生労働省・健保連からの通知・指導内容に基づき、「医科併給(重複受診)による受療」は、ご本人・施術者にお問合せすることなく不支給扱いとします。その際には不支給決定通知書が発行されますので、当決定による不支給分の施術料を施術者にお支払いをいただきますようお願いします。
3.柔道整復師にかかるときのポイント
ケガでない場合やケガの原因が労働災害(業務上又は通勤災害)に該当する場合には、健康保険は使えません。また、交通事故やケンカなど加害者がいるケガの場合には健康保険組合への連絡が必要となります。
接骨院、整骨院には、領収書の無料発行が義務づけられています。事後の施術内容の確認にも使えますので、医療機関等にかかった際と同様、領収書は必ずもらっておきましょう。
施術が長期(3ケ月以上を目途)にわたる場合は、胆石、腎臓病などの内科的要因や重大な病気も考えられますので、医師の診断を受けましょう。
4.柔道整復施術療養費支給申請書の記載内容をよく確認してからサインしましょう
健康保険が使えるケガの場合、接骨院、整骨院では、利用者が受領委任した療養費支給申請書を健康保険へ提出します。療養費支給申請書に書かれた内容をよく見て、間違いがないことを確認してからサインするようにしましょう。
〇確認する項目
・負傷部位、負傷日などを確認してください。
・施術を受けた日数や施術日を確認してください。
・窓口で支払った金額と合っているか確認してください。
・療養費支給申請書に記載されている内容をよく確認し、ご自分で署名してください。
※健康保険が使えない症状で施術を受けた場合や白紙の療養費支給申請書にはサインしないようにしましょう。
※利き手のケガなどで署名できないときだけ、柔道整復師が代理記入できますが、その場合には患者の押印が必要です。
5.不正請求の事例
〇適用外受診
単なる肩こり、腰痛等の施術に対し、負傷名を「捻挫」「打撲」等と偽り請求する。
〇施術回数の水増し
実際に施術を受けた回数(実日数)よりも多く請求する。
〇施術部位の水増し
一箇所の施術に対し、ケガのない複数箇所の施術料を請求する。
〇部位ころがし
施術部位が変わったことにして長期にわたり請求する。
6.柔道整復施術療養費の適正化対策
健康保険組合では、接骨院、整骨院から請求された施術内容が適正であるか確認するため、施術を受けた被保険者または被扶養者に施術内容を文書や電話で問い合わせをする場合があります。 文書による問い合わせを受けた場合には、必ずご自身で記入し回答するよう、ご協力をお願いします。 回答がない場合や正しく健康保険が使われていないときは、健康保険組合が負担した給付費(施術費)を返還していただくことがあります。